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EPISODE 3 「死ぬ前にドイツに行きたい!」

  • 執筆者の写真: Tomomi Masuda
    Tomomi Masuda
  • 2018年2月26日
  • 読了時間: 9分

 痛みが始まってから5か月ほど経った頃、痛みに波はあるものの、痛みを受け入れ前向きに進もうとしていました。しかし、痛みがなくなることはなく、ペインクリニックに通いながら内科も受診し、病変が現れたりしていないか確かめるため、同じ検査を受けることもありました。何度検査しても結果は異状なし。もうさすがに「特に異常は見当たらないですね」という宣告には慣れました。以前よりは肯定的でいましたが、「このまま一生治らないんじゃないか。一生痛いままで生きたいところにも行けず、やりたいことも思うようにできないまま死ぬのかもしれない。いつか病気が見つかって死んでしまうのかな」という思いが消えることはありませんでした。


 このまま死んでしまうと考えた時、私には心残りがありました。それはドイツに行かずに死ぬということでした。一年ほど前に読んだ『ハーブ療法の母 ヒルデガルドの家庭でできるドイツ自然療法』(ドイツ在住自然療法家 森ウェンツェル明華 著)を読み、「ヒルデガルド・フォン・ビンゲン」という中世の女性の名前が目に入った時、涙が溢れて止まらなくなりました。「わたしはこの人を知っている」直感的にそう思いました。懐かしいような、ほっと安心するような気持でいっぱいになり、悲しく冷たい涙ではなく、甘く丸いような感触の涙が流れました。こんな風に感じたことはこれまで一度もなかったので、本当に不思議でしたが、その本を読んでから「私は彼女がいた場所に行かなければならない」と思うようになり、ドイツ語の勉強を始めたのでした。そして、その本でヒルデガルドは生涯病気や全身の痛みを抱えながら、数々の偉業を成し遂げていったことを知りました。身体が病んでも、精神・スピリットは健やかで常に意思の強さを持ち合わせ、自分の使命に生きた女性でした。自分とどこか重なる部分もあって、夢中で読みました。彼女は神秘家、自然療法家、修道女、また芸術家としてなど女性が虐げられた時代において様々な分野で活躍し、人々に大きな影響を与えました。今でもドイツでは人気があり、ヒルデガルドは聖人の中でも特に学識に優れた「聖博士」の称号を与えられています。


 痛みを客観的に捉えられるようになり、痛みの波とうまく付き合いながら過ごす中で、多少の自由がきく時間はほとんど読書に費やしました。これまで読みたかったけど読めなかったヨガの本、病気に関する本、ヒーリングの本、アロマの本などです。そして、再びヒルデガルドが紹介されている本を手に取りました。「どうせ死んでしまうなら、完全に動けなくなる前に死ぬ前にドイツに行きたい!」それに「ヒルデガルドに呼ばれている気がする」と思いました。みなさんのご想像の通り「いやいや無理でしょ」と自分でも思いましたし、家族には「頼むからやめてくれ」と本気でお願いされましたが、その本の著者 森ウェンツェル明華先生にダメ元で連絡してみたところ、先生のご自宅でのホームステイに空きがあると思わぬお返事を頂き、今できる痛みの調整は全てやって、強力な痛み止めも持ってドイツへ渡ることを決めました。痛みがあることも先生は了承してくださいました。自然療法の先生のご自宅への滞在ということで安心感もありましたし、ドイツに行ったら治ってしまうかも、自然療法なら治るのかも、と期待を抱いていました。(こんな状態でドイツに行ったことをペインクリニックの先生が知ったらゲンコツですよね・・・この場を借りて謝ります。先生本当にごめんなさい!)


 直前に飛行機を取ったので、直行便は30万円もして断念し、乗り継ぎ便で16時間ほどかけてドイツへ向かいました。飛行機で痛くなったらどうしよう・・・と思っていましたが、じっとしていれば耐えることもできましたし、市販の睡眠導入剤を飲んでよく眠りました。起きている時間は、痛み止め成分を多く含むエッセンシャルオイルを入れて作ったマッサージオイルをこまめにお腹に塗るようにしたり、呼吸法や瞑想を行ったりして痛みのケアをし続けました。大きなトラブルはなく痛みも落ち着いた状態を保ち、無事にドイツ デュッセルドルフ空港に着き、先生のお宅へもスムーズに辿り着きました。海外で暮らしていたこともあり外国には慣れていましたが、ヨーロッパに行くのは初めてで大丈夫かな?と思っていましたが、何かに導かれるように旅は終始スムーズでした。


 森ウェンツェル明華先生はとても明るくきさくな方でした。ヒルデガルドの知恵を生活に取り入れ、ヒルデガルドのように暮らされています。先生の強さを秘めた底のない明るさにとても救われました。先生のお宅ではマンツーマンで日々色々なレッスンを受けました。ローフード(食事療法)、ホメオパシー、フラワーエッセンス、ティッシュソルト(生命組織塩)、ハーブ療法、ヒルデガルド療法等です。ご家族にもあたたかく迎えていただき、先生のエネルギーや考え方と共に暮らしながら学ぶ、非常に有意義な時間でした。滞在がとても心地よかったです。楽しくて、時間はあっという間に過ぎていきました。(明華先生とは、今後ヒルデガルドの自然療法プログラムを一緒に発信していくこととなりました。また、ヒルデガルドのイベントに共に参加させていただく予定です。明華先生とそのご家族並びに、このお導きに大変感謝します。)


 先生はレッスンの中で、私の症状に合う自然療法のお薬を処方してくださり、レッスンをしながら同時にケアもしてくださいました。自然療法の治療とは、ただ症状を見るのではなく、その人の体・心・気・スピリットの全体を見て、全体が整うように薬を処方したりアドバイスを行ったりすることに重きを置きます。その人全体が調和してくると、自然治癒力で病を治すことができるようになると考えているのです。自然療法ひとつひとつがどんなものかを学ぶと同時に、先生は私自身の全体が整うようにケアしてくださったのですが、具体的にどんなことをしたかというと、例えば私の心のケアです。特に母が亡くなった悲しみ、痛みへの悲しみは深く、涙を流しながら先生のカウンセリングを受けました。母が亡くなってから10年近いのですが、亡くなった時に十分悲しみ感情を消化するということが足りなかったようです。今思うと、長女の私は「これからは私が家のことをやって、妹のお弁当も作ったりして、お父さんのサポートもして・・・」となぜか悲しむよりもこれからの家族のことに責任を感じ、日々学業に家事にバイトに忙しく過ごしていました。悲しむ時間もありましたが、悲しむことを避けていたように思います。悲しみというエネルギー(気)を外に出しやすくするレメディー(ホメオパシーで処方するお薬のようなもの)を取らせてもらいました。もちろん、ホメオパシーで痛み止めとして使われるレメディーも試しました。痛みがゼロになることはありませんでしたが、1.2割は軽くなり、目に見えない「エネルギー(気)」が変わると、こんなに体が楽になるのだなと感心しました。他にも、花のエキスをつかった自然療法「フラワーエッセンス」のレッスンでは、自分に合う花のエキスを選んで調合し一日に少しずつ摂るなどしました。


 ヒルデガルドのハーブ療法のレシピは今でも薬局などでキットで売られていて(900年も前のレシピなのにすごいですよね。)、婦人科系の疾患や腹痛に効果的であるというものを購入し、説明書き通りに薬膳ワインを作って試しました。ワインにハーブとはちみつを入れて鍋で5分煮込んで完成です。寝る前に飲んでいました。痛みに対する即効性は感じられませんでしたが、体が冷えにくくなりよく眠れるようになった思います。効果は徐々に表れるものなのでしょう。


 その他にも、その人全体を見るという視点から先生は「ともみちゃんは、これからどうしたいの?本当は何をやりたいの?」と私が調和する生き方を選ぶように促してくれました。本当は、フリーランスのインストラクターとして自分の伝えたいことを、自分が形にして世に広めていきたかったのです。自分の理念や使命を一番大切にしたかったのです。これまでは「もっと経験を積まないと無理だ」「独立して生活できるか分からないから」などと言い訳して、本当にやりたいことやこうありたいという願いを無視してきた自分に気づきました。やりたいと分かっているのにやらないというのは、体も心も我慢しているストレス状態なので、どこかに不調和が生まれてもおかしくないのです。それが痛みとして体に表れたのだとしたら、体ってすごく正直!そんな風にも感じました。そして、私が心からやりたいと思うことができるように、先生はフリーランスとして独立するための知識や段取りについて詳しく教えてくださいました。本当に本当に親身になって。わたしが自信を失わないように何度も何度も「ともみちゃんはもう準備ができているのよ」「ともみちゃんなら絶対に大丈夫よ」と励ましてくださいました。さらに先生がふと「きっとお母さんは、ともみちゃんが自分の持っているもので人を幸せにしていってほしいと願っているわよ。ともみちゃんのご先祖様たちと一緒に、あちらの世界からともみちゃんにエネルギーを送るために亡くなったのかもしれないわね。痛みは「あなたらしくいていいのよ」というメッセージなんじゃないのかしら。そう感じるわ。」とおっしゃいまいた。それを聞いて、とにかく気が済むまで泣きました。そんな風には考えたことはなかったし、ここまで励ましてくださる方はいませんでした。母の死をそう受け止めるとしたら、わたしは何としても母の願いをかなえなければならないと思いました。このとき、フリーランスとして活動することを決意したのです。


 ドイツでの滞在中、先生のお手当のおかげで痛みは落ち着いており、ヒルデガルドの生まれたビンゲンという町へも行くことができました。ヒルデガルドの立てた修道院やヒルデガルドがいた教会、ヒルデガルドフォーラム、ヒルデガルド孤児院などを巡り、今なおヒルデガルドが人々の心を支えているのだと感動しました。教会では朝のミサにも参加してみましたが、神聖な雰囲気と司祭様から発せられる言葉に身も心も浄化されたように思います。


 「行ってよかった」心からそう思います。「病気や痛みを理由に何かをあきらめることをやめよう。これからも色々な療法で痛みのケアを続けて、絶対にフリーランスとして活躍するんだ。」そう決意できたことが、ドイツ滞在の大きな意味となりました。できることから少しずつ。日本に戻り、瞑想に打ち込む日々を送るようになりました。ドイツへの旅をサポートしてくれた家族、当時のパートナーに本当に感謝します。ありがとう。

 




#痛み#ドイツ#自然療法

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